国宝犬山城天守・史跡犬山城跡保存活用計画策定業務

 犬山城は天文 6 年(1537)、織田信長の叔父である織田信康によって築城されたとされる。その後、目まぐるしく城主が交代するが、元和 3 年(1617)、尾張徳川家付家老である成瀬正成が城主となって以降は、近世を通して成瀬氏が城主を務め、明治維新を迎えた。このように犬山城は歴史が長く、文化財的価値も高く評価され、文化財として現在「史跡犬山城跡」と「国宝犬山城天守」から構成されている。
 犬山市では、これらの先人が残してくれた貴重な文化遺産の価値を高め、確実に次世代に継承していくため、国宝天守としての建造物と史跡に指定された土地に関する保存活用計画を策定することとした。また、犬山城が史跡と天守から構成される以上、個々の指定文化財について別々で策定するのではなく、双方併せた「犬山城」として、目的とビジョンを共有した計画を策定するのが適切であり、史跡と天守の保存活用計画を一体化して策定することとなった(「国宝犬山城天守・史跡犬山城跡保存活用計画」より)。
 本業務は、国宝犬山城天守及び史跡犬山城跡の土地、遺構、建造物等諸施設の今後の保存・管理及び活用・整備に関する指針となる保存活用計画の策定支援業務であり、文化庁及び学識経験者等で構成される委員会の意見を踏まえながら業務を遂行した。保存活用計画では、保存管理、防災、活用、整備、運営・体制について、現状・課題を整理し、基本方針及び方向性を定めた。保存管理では、歴史性や現状を踏まえて地区区分を行い、地区ごとの保存管理方針及び諸要素ごとの保存管理方法を定めた。また、指定地内で予想される施設の改修・更新等による遺構の保存に影響を及ぼす行為について、現状変更等の取扱基準を定めた。防災では、想定される災害に備えた防災・防犯の管理方法及び管理体制を示した。活用では、情報発信及び企画催事等を充実させ、史跡への理解を深め、魅力の向上を図るための方法を示した。整備では、後世に確実に継承する「保存のための整備」と犬山城の歴史を分かりやすく伝える「活用のための整備」について、計画的に実施していくための整備方法を示した。運営・体制では、犬山城の保存、活用、整備を着実に推進するための運営・体制の構築を図るための方法を示した。

 


■所在地 :愛知県犬山市
■受注先 :犬山市
■業務内容:計画策定支援
■工期  :令和2年度